政府は5日、ロンドン・ヒースロー空港の第3滑走路の建設計画を閣議で承認した。遅くとも2030年までの供用開始を見込む。6月中の議会承認の獲得を目指すが、騒音問題や大気汚染の悪化などを理由に与党・保守党内でも意見が割れており、予断を許さない状況だ。BBC電子版などが伝えた。
新滑走路の建設を巡っては2009年に当時の労働党政権が承認したものの、保守党と自由民主党の連立政権がこれを撤回。しかしメイ政権の下で運輸省は2016年10月に建設を認める最終決定を下し、昨年10月から意見公募の手続きを進めていた。建設費は約140億ポンドで、運輸省は全額を民間資金で賄うとしている。
完成すれば発着回数は1日に700回増え、旅客数は現行の8,550万人から1億3,000万人に拡大する。空港の拡張により新たに6万人程度の雇用が生まれ、2050年代までに経済全体に約700億ポンドの経済効果が見込まれている。グレイリング運輸相は「今こそ行動すべき時だ」として、今回の決定は国益を優先したもので英国全体の利益になると強調。立ち退く住民への補償や騒音軽減措置に対しては、26億ポンドを投じる方針を示した。
ただ、保守党内では、騒音などが悪化する選挙区の選出議員を中心に反対意見が強く、議会での採決にも党の方針に従わない姿勢を示している。このため政府は、議会で労働党やスコットランド国民党(SNP)の支持を取り付ける考え。労働党は同空港の拡張は英国経済に不可欠としながらも、計画への支持は発着数や大気汚染、騒音、経済全体への利益などの基準に合致することが条件としている。[環境ニュース]
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