イタリアで1日、第1党で反体制派政党の「五つ星運動」と第2党で中道右派の同盟(旧北部同盟)が推す法学教授のジュゼッペ・コンテ氏が首相に就任した。両党は先に新たな組閣案で合意し、マッタレッラ大統領の承認を取り付けていた。両党は議会の過半数の議席を占めており、3カ月にわたって続いた政治的空白に終止符が打たれ、西欧で初のポピュリズム政権が誕生する運びとなった。BBC電子版などが伝えた。
五つ星運動と同盟は、争点となっていた経済財務相のポストにローマ大学トルベルガータ校の経済学教授ジョバンニ・トリア氏を充てた。両党は最初の組閣案で、欧州連合(EU)懐疑派のエコノミストで反ユーロの立場を取っていたパオロ・サボナ氏を経済財務相に充てる方針を示したが、新EU派のマッタレッラ大統領がこれを拒否したため、コンテ氏が一度は組閣を断念していた。トリア氏もEUに批判的だが、ユーロ圏離脱は支持していない。
不法移民の本国送還などを主張する同盟のサルビーニ党首は内相に就任する。五つ星運動のディマイオ党首は、失業者や貧困層に最低限の所得を補償するベーシックインカムの導入などに向けて、労働・社会政策省と経済発展省の役割を統合した新たな閣僚ポストに就く。両党首は共に副首相を兼務する。
外相にはモンティ政権で欧州問題担当相を務めたエンツォ・モアベロ・ミラネージ氏が充てられ、国防相には五つ星運動のエリザベッタ・トレンタ氏が就任する。サボナ氏は欧州問題担当相として入閣する。
経済財務相のポストを巡る騒動はひとまず落ち着いたが、EUとの対立の火種はまだ完全には消えていない。両党は連立政権の政策綱領として、ベーシックインカムやフラットタックスの導入、年金改革の撤回などを掲げている。これらの政策の実施にかかるコストは専門家の間では年間650億~1,260億ユーロに達するとみられており、国家支出について定めたEUのルールと対立する可能性が指摘されている。
3月の総選挙では五つ星運動が32%、同盟が17%の得票率を獲得。5月に入って連立交渉を本格化させていた。マッタレッラ大統領は、コンテ氏が組閣を一度断念した後、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名して組閣を命令したが、政局の混乱を受けて金融市場が荒れたことなどを受け、両党に組閣案を再び作成するための時間的猶予を与えていた。[労務][EU規制]
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