イタリアの第1党で反体制派政党の「五つ星運動」と第2党で中道右派の同盟(旧北部同盟)は18日、連立政権の樹立に向けた政策綱領を発表した。失業者や貧困層に最低限の所得を補償するベーシックインカムやフラットタックスの導入、年金改革の撤回などが含まれており、同国に財政赤字の削減を求める欧州連合(EU)との衝突も予想される。政策綱領は、両党の党員による承認を得た上で正式決定される。
五つ星運動が目玉公約として掲げていたベーシックインカムは、1人当たり月780ユーロとしている。資金の一部はEUを通じて拠出する方針。一方、同盟が提案していたフラットタックスは、2段階税率に修正したものの、結果的には大規模な減税となる見込み。また、退職年齢を段階的に引き上げる2011年の年金制度改革の撤回も打ち出している。さらに、政府の企業や個人に対する債務を証券化し、取引可能にする案も示している。
これらの政策の実施にかかるコストは明らかにされていないが、ロイター通信によると、専門家の間では年間650億~1,260億ユーロに達すると見られている。
ただ政策綱領では、EUやユーロ圏への参加継続の是非を問う国民投票や、欧州中央銀行(ECB)に対する債務帳消しの要請には触れていない。五つ星運動と同盟は共に、イタリアの既存政治の変革とともに、欧州連合(EU)との関係性の転換を公約していた。
五つ星運動はこの日、午前10時から午後8時までオンラインで党員投票を実施。同盟も全国の投票所で投票を実施し、20日までに終了する見通し。連立政権樹立に向けては今後、焦点となっている首相候補で両党が合意し、マッタレッラ大統領がこれを承認する必要がある。3月の総選挙では五つ星運動が32%、同盟が17%の得票率を獲得しており、連立政権を樹立すれば、上下両院で過半数を確保できる。
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