グレイリング運輸相は16日、鉄道イーストコースト本線(ロンドン―スコットランド・アバディーン/インバネス)を6月24日付で暫定的に再国有化する方針を明らかにした。同線を運営するバス・鉄道運行大手ステージコーチ・グループ主導のコンソーシアムが契約不履行に陥ったためで、国有化は過去10年超で3度目となる。同相の下院での発表を元に、BBC電子版などが伝えた。
イーストコースト本線は、ステージコーチが90%、ヴァージン・トレインズが10%それぞれ出資するコンソーシアムが「ヴァージン・トレインズ」のブランド名で運営する。同コンソーシアムは2014年の再民営化の際に同線のフランチャイズ(営業権)を落札。2023年までの契約期間中に、政府に33億ポンドを支払うほか、総額1億4,000万ポンドを投資する取り決めだった。しかし、利用者数が伸び悩むなど業績は低迷。同相は2月、この契約を早期に終了し、同本線を再国有化する可能性を示唆していた。
同相は今回、6月24日付で同コンソーシアムとの契約を打ち切り、「ロンドン・ノースイースタン鉄道(LNER)」のブランド名で国有化すると発表した。2020年までの暫定措置とし、この間に新たな官民パートナーシップを構築する。
ステージコーチとヴァージンはこの事業により2億ポンドの損失を被ったが、現時点で公的資金による補填(てん)は予定されていない。グレイリング運輸相は、両社の事業運営に不正はなかったとし、今後も両社に鉄道フランチャイズ入札への参加を認める方針を示している。
広範な公共サービスの国有化を求める最大野党・労働党は、この決定を歓迎している。
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