英中銀イングランド銀行は9日に開いた金融政策委員会(MPC)で、政策金利を0.5%に据え置くことを決めた。金融資産購入による量的緩和策については、4,350億ポンドで維持した。いずれも大方の予想通り。
議事録によると、9人の委員のうちマイケル・サンダース委員とイアン・マカファーティー委員の2人は、前回に続き0.25ポイントの引き上げを訴えた。金融資産の購入規模の維持は全会一致で決定した。
中銀は昨年11月、インフレ加速に歯止めを掛けるため政策金利を0.25ポイント引き上げ、2007年7月以降で初めて金融引き締めに転じた。今年2月のMPC後には、向こう3年で0.25ポイント程度の利上げを3回以上実施する可能性を示唆。さらに3月のMPCで両委員が利上げ支持に転じたため、市場ではいったん、5月にも利上げが行われるとの見方が強まった。だがその後に発表された第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP、速報値)が雪の影響などで前期比0.1%増にとどまったことから、カーニー総裁は利上げの見送りを示唆していた。
中銀は議事録で「第1四半期の減速は一時的な不振で、英経済の見通しにほとんど影響はない」とした上で、「今後数カ月は動向を見守り、第1四半期の不振が長引くかどうかを見極める価値がある」とした。インフレ率については、予想以上のペースで減速しているものの、これは通貨ポンド安による輸入物価上昇の影響が薄まったためで、国内の物価圧力は高止まりしているとの見方を示した。3月のインフレ率は2.5%と、2月から0.2ポイント減速したが、中銀が目標とする2%を引き続き上回っている。
■今年の成長見通しを引き下げ
中銀は併せて公表したインフレ報告書で、今年のGDPが1.4%拡大するとの見通しを示した。第1四半期の不振を背景に、前回2月時点の予測1.8%から下方修正している。2019年と2020年の成長率見通しは、前回と同じ1.7%を維持した。
ただ、中銀の国内経済に対する基本的な見方は前回からほとんど変わっておらず、過剰生産能力はほぼ解消され、失業率も均衡的水準に近付いているとみる。賃金の伸びはようやく加速しつつあるものの、資金は減っていた貯蓄の回復に向けられる可能性もあり、支出増につながるかは不透明としている。[労務]
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