英携帯電話サービス大手ボーダフォンは9日、米メディア大手リバティ・グローバルから欧州4カ国の資産を取得することで合意した。取引額は184億ユーロで、うち106億ユーロは現金で支払う。取引が成立すれば、ボーダンフォンは欧州大陸における「クアドラプルプレイ」(インターネット接続、固定電話、映像配信、携帯電話の4サービスの一括提供)が大幅に強化される。
ボーダフォンは、リバティ・グローバルからドイツ、ハンガリー、ルーマニア、チェコの資産を取得する。ボーダフォンは既にドイツでケーブルテレビ(CATV)事業を展開しているが、ハンガリー、ルーマニア、チェコでは携帯電話サービス事業のみを提供している。ボーダフォンにとっては、2000年に独同業マンネスマンを1,120億ポンドで買収して以来の大型取引となる。
ボーダフォンは2014年に独カーベル・ドイチュラントを77億ユーロで買収し、CATV業界では独最大手。今回の取得資産には独CATV2位のユニティメディアが含まれており、競合の独通信大手ドイツテレコムは取引に強く反対している。
しかし、ボーダフォンは現在、ドイツ全16州のうち13州でCATV事業を展開しており、ユニティメディアは残る3州をカバーしているため、ボーダフォンのビットリオ・コラオ最高経営責任者(CEO)は「地域的な重複はない」と主張している。取引は欧州委員会などの承認を経て、2019年後半に完了する見通し。
リバティ・グローバルは欧州12カ国で事業を展開しており、傘下の英CATV大手ヴァージン・メディアやアイルランド事業は引き続き保有する。一方、欧州大陸では資産の放出に着手しており、昨年12月には、オーストリア事業UPCオーストリアをドイツテレコムのオーストリア携帯電話子会社Tモバイルオーストリアに19億ユーロで売却することで合意している。[M&A][EU規制]
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