トランプ米大統領は、欧州連合(EU)とカナダ、メキシコに対する鉄鋼・アルミニウム関税適用の決定を6月1日まで先送りすることを決めた。暫定的な適用除外が切れる5月1日午前0時1分(米国時間)の数時間前に明らかにされた。米国は輸入の割り当てに焦点を当てて交渉に臨む方針で、週明けから「最後の30日間」の交渉が再開される。ホワイトハウスが4月30日に発表した声明を元に、BBC電子版などが伝えた。
ホワイトハウスは声明の中で、「交渉においては、輸入の制限や積み替え輸出の防止、国家安全保障を守るための割当量に焦点を当てる」と説明。関係者によると、交渉期間は6月1日からさらに延長されることはないという。
欧州委員会は「米国の決定は市場の先行き不透明感を引き伸ばすものだ」とし、既に企業の意思決定にも影響を及ぼしていると指摘。鉄鋼やアルミニウム製品への関税適用は国家安全保障を理由に正当化されるものではなく、EUは関税の適用から完全かつ恒久的に除外されるべきだと主張した。また、双方の利益とするための議論は歓迎するが、長年にわたる米国との友好関係に鑑みて、脅威にさらされた状態での交渉はしないとの立場を示した。
米国は併せて、ブラジルとアルゼンチン、オーストラリアについては、恒久的に適用除外とすることで合意したと明らかにした。これら3カ国との合意内容の詳細は、近く発表する予定という。
米国は3月23日、鉄鋼とアルミニウムに対してそれぞれ25%、10%の関税の適用を開始。EU、カナダ、メキシコ、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンは暫定的に適用を除外されていた。韓国は米国への鉄鋼輸出量を約30%削減することで合意し、既に恒久的な除外を認められている。[EU規制]
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