通信大手ドイツテレコム傘下の米携帯電話子会社TモバイルUSとソフトバンクグループ傘下の米スプリントは4月29日、事業合併で合意したと発表した。株式交換の形で行われ、取引額は260億ドル。統合後は企業価値1,460億ドルの巨大企業が誕生する格好だ。
取引では、TモバイルUS株1株当たり、スプリントの9.75株と交換する。新会社への出資比率はドイツテレコムが42%、ソフトバンクが27%で、米ワシントン州ベルビュー(Bellevue)を本拠とする。両社は合併により、コスト低減や経営規模の拡大、低価格かつ高品質で競争力のあるサービスを提供するための資源確保につながると主張。コスト面でのシナジー効果は60億ドル超に達し、2018年のサービス収入は530億~570億ドルを見込む。
新会社の最高経営責任者(CEO)にはTモバイルUSのジョン・レガー社長兼CEOが就任するほか、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、スプリントのマルセロ・クラウレCEOが取締役に名を連ねる。取引は関係当局の承認を経て、2019年6月までの完了を見込む。
レガー社長兼CEOは今回、新会社の方針として、向こう3年で第5世代(5G)サービスの携帯電話通信網に400億ドルを投資すると発表。合併前に比べて増員する予定だと強調した。
TモバイルUSとスプリントはそれぞれ、米国の携帯電話で3位と4位につけている。合併が成立すると、契約者数は1億2,700万人に達し、国内最大手のベライゾン(Verison)・コミュニケーションズと2位のAT&Tに迫る。なお両社は昨年にも株式交換による合併交渉を進めていたが、取引額で折り合わず計画を白紙に戻した経緯がある。[日本企業の動向][M&A]
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