武田薬品工業は19日、アイルランドの製薬大手シャイアー(Shire)に買収提案を行っていたことを明らかにした。1株当たり46.5ポンドで全株を取得する内容で、取引額は総額440億ポンドに上る。シャイアーはこれを拒否したものの、武田との交渉は継続中としている。
武田は12日にこの買収提案を行ったが、シャイアーは14日、自社の価値を大幅に過小評価しているとしてこれを拒否していた。武田はシャイアー株1株に付き、現金17.75ポンドと自社の新株28.75ポンド相当を組み合わせ、計46.5ポンド相当を支払うとしていた。買収提案はこれが3度目で、1度目の買収提案では1株当たり44ポンド、2度目の提案では1株当たり45.5ポンドの買収額を提示していたが、いずれも同じ理由で拒否されていた。
ただ、シャイアーは3度目の買収提案を拒否した後も武田との交渉を継続中で、買収条件の引き上げの可能性について協議している。武田は正式な買収提案を行う条件として、シャイアーの取締役が全会一致で買収案を支持することなどを挙げている。同社は英国の買収委員会(テイクオーバー・パネル)が定めた期限である4月25日午後5時(英国時間)までに、正式な買収提案を行うかを明らかにする必要がある。
武田は3月、シャイアーに買収提案を行うことを検討していると発表。主力のがんや消化器系疾患、神経疾患の治療薬を強化する狙いとしていた。ただ、シャイアーは先に、がん治療薬事業を仏同業セルビエ(Servier)に24億ドルで売却することで合意。これを武田による買収の回避策とする見方もあるが、シャイアーの売上高にがん治療薬事業が占める比率はごくわずかに過ぎないため、これにより武田が買収を断念する可能性は低いとみられている。
なお、ロイター通信によると、アイルランドと米国に本社を置く製薬大手アラガン(旧アクタビス)も、シャイアーと買収に向けた交渉を行っている。買収提案を行ったかは不明で、正式な買収案を提示するかも決まっていないという。[M&A][日本企業の動向]
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