英製薬大手シャイアー(Shire)は16日、がん治療薬事業を仏同業セルビエ(Servier)に24億ドルで売却することで合意したと発表した。取引は9月末までに完了する見通し。
がん治療薬事業は、転移性膵臓(すいぞう)がんや急性リンパ性白血病などの治療薬を手掛け、売上高は年間2億6,200万ドル。シャイアーは1月に同事業の売却手続きを開始し、欧米および日本の複数企業が候補に挙がっていた。同社のフレミング・オルンスコフ最高経営責任者(CEO)は同事業について、「高成長と高利益をもたらしてきたが、当社のより長期的な戦略の中核ではないと判断した」と説明している。
セルビエは非営利研究機関の傘下企業で、世界148カ国で事業を展開。2017年の売上高は41億5,200万ユーロだった。
シャイアーを巡っては、武田薬品工業が買収を検討している。武田はこれについて、主力のがんや消化器系疾患、神経疾患の治療薬などを強化することが狙いとしている。ロイター通信によると、シャイアーの売上高にがん治療薬事業が占める比率はごくわずかに過ぎないため、同事業の売却により武田が買収を断念する可能性は低いとみられている。武田は4月25日までに正式な買収提案を行うかどうかを決定する。[M&A][日本企業の動向]
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