広告で世界最大手の英WPPグループは、マーティン・ソレル最高経営責任者(CEO)が14日付で辞任したと発表した。ソレル氏は、創業から33年にわたり同社を率いてきたが、会社資金の不正使用疑惑を巡って内部調査が進められていた。同社は併せて、調査の終了も発表したが、詳細は明らかにしていない。
WPPは4月初め、同氏の不正疑惑を巡る内部調査を開始したと発表。ただ、同氏が不正使用したとされる資金の額は、同社の財務状態に影響を及ぼす水準ではないとしていた。ソレル氏は一貫してこの疑惑を否定している。
後任が決定するまでは、ロベルト・クアルタ会長が経営の指揮を執る。同会長はソレル氏について「WPPが世界最大のマーケティング・サービス企業へと発展する原動力だった」とし、感謝の意を表明した。ソレル氏は定年退職扱いとなり、契約通り退職金などを受け取る。同氏はかねて報酬の高さで知られ、2015年には当時、国内経営者としては史上最高となる7,000万ポンドの報酬案に、株主の3分の1が反対して話題となった。
ソレル氏は1985年、ワイヤー製の籠を手掛ける小規模企業を取得し、度重なる企業買収を経て、世界112カ国・地域に3,000カ所超の拠点を有する広告世界最大手へと育てた。フィナンシャルタイムズによると、同氏の予想外の辞任を受け、WPPの株価は一時7%下落した。同社は新CEOを外部から起用する可能性が高く、英有料衛星放送大手スカイのジェレミー・ダロックCEOや、英同業BBDOのアンドリュー・ロバートソンCEOなどの名が取り沙汰されている。[労務]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。