独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は12日、マティアス・ミュラー最高経営責任者(CEO)が同日付で退任し、後任に「VW」ブランドを統括するヘルベルト・ディースCEOが就いたと発表した。排ガス不正問題に対処してきたミュラー氏は、任期半ばで身を引く格好。VWは今後、コスト削減の手腕で知られるディース氏の下で、2025年に向けた新事業戦略に基づく組織再編を加速させる。
VWは先に、経営体制見直しの一環としてCEOが交代する可能性を示唆しており、後任にはディース氏の名が取り沙汰されていた。ミュラー氏は2015年9月、排ガス不正問題が発覚した直後にCEOに就任し、当局の捜査や各種訴訟に対処してきた。ハンスディーター・ペッチュ会長は「ミュラー氏の下でVWは史上最大の試練を無事に乗り切り、戦略の再構築を実現した」と評価した。
ただ、2016年6月にミュラー氏が打ち出した新事業戦略の目玉である事業組織の再編はあまり進んでいない。VWはこの日、傘下の12ブランドを大衆車、高級車、超高級車の3部門に集約し、これに新規株式公開(IPO)を計画するVWトラック&バスなどを加えた6部門体制に移行することを発表した。また、中国事業を専門に手掛ける新部門も設置する。
ディース氏はBMWで開発担当役員を務めた後、2015年にVW乗用車部門のCEOに就任。同部門の利益率を2倍以上に拡大している。[労務]
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