英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空を運営するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は12日、格安航空大手ノルウェー・エアシャトル(NAS)の株式4.61%を取得したと発表した。取引額は明らかにされていない。同社は併せて、将来的に全株取得も検討していることを明らかにしている。
今回の発表は、IAGがNASの買収を検討しているとの報道を受けたもの。IAGは今回の少数株取得について、NASと完全買収に向けた協議の足掛かりを作る狙いと説明している。現時点では、最終的に買収提案を行うかの決断は下されていない。市場関係者によると、NASの市場価値は負債も含めるとおよそ30億ドルで、取引額は10億ドル超に上る可能性がある。
IAGは傘下にアイルランドのエアリンガスを保有するほか、長距離路線の格安航空ブランド「レベル(LEVEL)」を運営するが、格安航空各社とし烈な競争を強いられている。中でもNASは、欧州路線だけでなく、英国やアイルランドと米国やアルゼンチンを結ぶ長距離路線を運航しているほか、今後も中南米やアジア行きの国際路線の拡充を予定している。IAGはNASを傘下に収めることで、価格競争の激化を減速させたい意向があるとみられる。
一方のNASは、2017年通期の純損失が2億9,860万ノルウェークローネ(3,825万ドル)となり、前期の11億3,500万ノルウェークローネの黒字から赤字に転落した。燃料価格の上昇や事業コストの拡大が響いたためで、現在は機体の売却などによる資金確保を余儀なくされている。ただ、NASのビョルン・ショス最高経営責任者(CEO)は先に、投資が回収されるまでは身売りする計画はないと話している。[M&A]
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