英衛星放送大手スカイの買収を目指すメディア王ルパート・マードック氏率いる米21世紀フォックスは、米ウォルト・ディズニーがスカイ・ニュースを買い取ることを提案していると明らかにした。英競争・市場局(CMA)の承認獲得につなげる狙い。BBC電子版などが3日伝えた。
21世紀フォックスは2016年12月、スカイの残り株61%を取得することで合意した。しかしCMAは今年1月に、メディアの多様性が失われる恐れがあり公共の利益にならないとの暫定的判断を下し、スカイ・ニュースのスピンオフ(分離・上場)または売却などの是正措置がなければ、取引を阻止する方針を示している。
ウォルト・ディズニーは昨年12月、スカイ株39%を含めた21世紀フォックスの資産の大半を買い取ることで合意しているが、この取引の成立にかかわらずスカイ・ニュースの取得に関心を示している。ディズニーが買収する場合にもCMAの審査が必要となるが、21世紀フォックスに比べて英国のメディアでの存在感ははるかに小さいため問題となる可能性は低いとされる。
21世紀フォックスはCMAに対して、ウォルト・ディズニーの提案を提示するとともに、代替案としてスカイ・ニュースの経営の独立を保証する案も示した。これはスカイ・ニュースをスカイから分離し15年間の運営資金を保証するもので、スカイの会長であるマードック氏やチェイス・カーリー最高経営責任者(CEO)らがスカイ・ニュースの編集に影響を与えないことを明言した。21世紀フォックスは、2つの提案のどちらかで取引の承認を得られるとみている。
一方、スカイに対しては、米ケーブルテレビ(CATV)最大手のコムキャストも2月末に買収案を提示している。条件は1株当たり12.5ポンドと、21世紀フォックスの10.75ポンドを約16%上回る。21世紀フォックスは当局の承認が得られれば、コムキャストに対抗して提示額を引き上げるとみられている。
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