エンジニアリング関連の投資会社メルローズ(Melrose)・インダストリーズは、英自動車・航空部品大手GKNに対する敵対的買収を巡り、株式公開買い付け(TOB)の締め切りまでにGKNの52.4%の株主が提案を受け入れたと発表した。買収案に対抗していたGKNの経営陣もこの結果を受け入れ、残りの株主にもメルローズの提案に応じるよう呼び掛けた。
メルローズはTOBにより過半数株を獲得することを目指していた。これに対してGKNは、自動車部品を手掛ける主力のドライブライン部門を米自動車部品大手デーナ(Dana)と統合することを決め、対決姿勢を強めていた。この統合案は撤回される見通し。GKNはTOBの結果を認めながらも、買収案はGKNの価値を過小評価していると改めて強調している。
メルローズは引き続き同じ条件で株式を買い取り、追って期限を明らかにする。19日までは買い取りを続ける予定だ。同社は取得した株式が75%に達すれば、上場廃止の手続きを始める意向を示している。
今回の結果を受けてクラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は先に、買収案が公共利益に反する懸念がないか検討することを明らかにしている。GKNが英国軍への供給などで安全保障に関わるため。同相は既にメルローズに質問状を送っており、その回答に示された約束は法的に拘束力があるとしている。
メルローズは、買収が成功すれば航空宇宙部門を5年間は売却しないこと、英国での上場を5年間は継続すること、研究開発(R&D)支出を売上高の2.2%以上とすることなどを約束していた。ただ、将来的にメルローズがGKNの航空宇宙部門を国外企業に売却する懸念が指摘されている。[M&A]
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