オランダの化学大手アクゾノーベルは27日、特殊化学事業を米投資会社カーライル・グループとシンガポール政府系投資会社GICから成るコンソーシアムに売却すると発表した。取引額は負債引き受けを含めて101億ユーロ。昨年に米同業PPGインダストリーズからの買収案を拒否して以降、高まっていた株主からの圧力を緩和し、今後は主力の塗料・塗装事業に注力する。
アクゾノーベルの化学技術はビニール袋や太陽光パネルなどさまざまな製品に使用されている。近年はとりわけ欧州での需要が増加しており、特殊化学事業は2017年に増収増益を記録。米アポロ・グローバル・マネジメントや、米アドベント・インターナショナルとベイン・キャピタルによるコンソーシアムなどが買収合戦を繰り広げていた。
アクゾノーベルは今回の取引で75億ユーロの売却益を得る見込み。ティエリー・ファンランカー最高経営責任者(CEO)は、大半を株主に還元するとしている。取引は関係当局の承認を経て、年末までに完了する見通し。
ファンランカーCEOによると、アクゾノーベルは塗料・塗装分野で世界トップ3に入る。今後は買収による規模の拡大も視野に入れており、2020年までに15%の利益率を達成する目標を掲げている。
アクゾノーベルは昨年、PPGインダストリーズからの260億ユーロの買収提案を拒否。同年11月には、米アクサルタ(Axalta)・コーティング・システムと塗料・塗装事業を統合する合併交渉が決裂した。[M&A]
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