欧州委員会は21日、米インターネット検索エンジン大手グーグルや米ソーシャルメディア大手フェイスブック(FB)、米オンライン販売大手アマゾンなどの多国籍デジタル企業を対象に、欧州連合(EU)域内でのオンライン広告などの売上高に3%の新税を科す計画を提案した。これらの企業が利益に見合う税金を納めていない問題を受けた暫定措置で、年間50億ユーロの税収増を見込む。
新税の対象となるのは、利用者の参加によって価値が生み出される事業の売上高で、オンライン広告収入や、検索エンジンおよびソーシャルメディアで収集したデータの販売収入、会員同士の交流や売買取引を促すデジタル・プラットフォームの提供により得られた収入などが含まれる。徴税は、利用者の所在する加盟国が行う。課税対象となる企業は、世界での年間売上高が7億5,000万ユーロ以上で、うちEU域内の課税対象所得が5,000万ユーロ以上の企業としている。
欧州委は併せて、長期的な法人税の見直しにより、多国籍デジタル企業への課税を利益が発生した国ごとに行う案も提示。こうした企業が税率の低い国に利益を移転して納税額を低く抑えるのを防ぐ狙いで、最終的には現在、加盟各国が協議を進めている「共通連結法人税課税ベース(CCCTB)」に盛り込む意向だ。新税はこの長期的計画が実現するまでの暫定措置としている。
EUの税制改正には、欧州議会の承認に加え、全加盟国の全会一致での承認が必要となる。ただ新税を巡っては、導入により税収の増える主要各国と、ルクセンブルクやアイルランドなど多国籍デジタル企業を誘致するために税制上の優遇措置を施している国の間で意見が二分されている。主要各国はかねて、こうした優遇措置が多国籍デジタル企業の実効税率の低さにつながっていると批判している。一方、アイルランドやルクセンブルクには、新税導入により税収が失われることに加え、こうした企業への自国の魅力が薄れることへの不安もある。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。