アイルランドの格安航空大手ライアンエアーは20日、破綻したエアベルリンのオーストリア子会社ニキ航空(NIKI Luftfahrt)の引受先となったラウダモーション(LaudaMotion)の株式24.9%を取得することで合意したと発表した。欧州委員会の承認が得られ次第、出資率を75%まで引き上げる方針。ドイツとオーストリアでの存在感が大きく高まる見通しだ。
ラウダモーションはチャーター機の運航などを手掛けており、元フォーミュラ・ワン(F1)レーサーのニキ・ラウダ氏が経営する。エアベルリン資産の中で最も有望視されていたニキ航空は、独最大手のルフトハンザ航空や英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空を運営するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)への身売りが相次ぎ失敗し、今年1月にラウダモーションが引受先に決まっていた。
ラウダモーションの75%株の取得額は5,000万ユーロ未満だが、ライアンエアーはこれとは別に初年度の立ち上げ費用や運営コストとして5,000万ユーロを提供する。ライアンエアーは財務・経営上の支援も行うほか、2018年度には機体と客室乗務員などをセットで貸す「ウェットリース」契約で6機を貸し出す。ラウダ氏は買収後も会長を務め、経営戦略などを監督する。
ラウダ氏は2003年にニキ航空を創業。2011年にエアベルリンに持ち株を売却し、一度は経営から退いたが、エアベルリンが破綻した昨年8月以降は2度にわたり引受先に名乗りを上げていた。ニキ航空はドイツとオーストラリアを拠点に観光地行きの路線を運航している。[M&A][EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。