米商務省が鉄鋼とアルミニウムの全面的な輸入制限案をトランプ大統領に提言したことを巡り、欧州鉄鋼協会(EUROFER)は17日、貿易戦争の引き金を引くとして、トランプ大統領に規制導入を思いとどまるよう求めた。全面的な輸入規制になれば、欧州連合(EU)がセーフガード措置に踏み切るほか、世界貿易機関(WTO)加盟各国の報復措置を招く可能性があると警告している。
トランプ大統領は昨年4月、商務省に対して通商拡大法232条に基づいて鉄鋼とアルミの輸入増が安全保障上の脅威になっているか調べるよう命じていた。商務省は16日、脅威を認めた上で輸入制限案を同大統領に提出したことを明らかにした。同法により大統領は、議会の承認を経ずに規制の導入を判断できる。
提言では、全ての国を対象に24%以上の関税をかける案、全ての国に2017年実績の63%の輸入割当を設ける案、ブラジルや韓国、ロシア、中国など12カ国を対象に53%以上の関税をかけて他の国には2017年実績と同じ量の輸入割当を設ける案がある。トランプ大統領は関税や輸入割当規模、対象国を独自に決められるほか、提言を却下できる。期限は鉄鋼が4月11日、アルミが19日。
EUROFERは、EUと米国は密接なパートナーで北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であり、通商拡大法232条に基づく輸入制限はこうした関係を弱体化させると指摘。これまでEUと米国は共に鉄鋼製品のダンピングに対しては対象を絞った措置を取ってきたことに触れ、EUROFERは世界的な過剰生産への対応に各国と協力して取り組んでいるとして、全面輸入規制は解決策にはならないと主張している。[EU規制]
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