欧州航空・防衛最大手エアバスは15日、2017年12月通期の純利益が28億7,300万ユーロとなり、前年から3倍弱に増加したと発表した。新型軍用輸送機「A400M」の納入遅延や不正捜査に絡む特別損失を計上したものの、事業売却益や為替差益が全体を押し上げた。
売上高は667億6,700万ユーロと、前年からほぼ横ばい。うち民間機部門は3%増えた。一方、防衛・宇宙部門とヘリコプター部門のエアバス・ヘリコプターズはそれぞれ9%、3%落ち込んでいる。グループのEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)は42億5,300万ユーロと8%増加した。
12月末時点の民間機の純受注機数(キャンセル分除く)は1,109機と、前年比52%増加。米競合ボーイングの912機を上回り、5年連続で優位に立った。受注残高は9,968億2,200万ユーロと、6%縮小している。
エアバスは当期、「A400M」の納入遅延などに絡み新たに約13億ユーロの特別損失を計上しており、プロジェクトにおける損失は総額80億ユーロに達している。なお同社は先に、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州7カ国と「A400M」のさらなる納入遅延について基本合意を結んだ。また、オーストリアでの戦闘機「ユーロファイター」売却を巡る不正疑惑に絡み和解金1億1,700万ユーロをドイツ当局に支払っている。
エアバスは今年、民間機約800機を納入する見通し。事業買収の影響と特別損益を除くEBITは20%ほど拡大すると予想する。
なお、エアバスはヘリコプター部門トップに、防衛・通信機器や航空エンジンを手掛ける仏サフランのヘリコプター・エンジン部門トップを務めるブリュノ・エバン氏(49)を指名したと発表した。4月1日付で就任する。現ヘリコプター部門トップのギヨム・フォーリ氏が民間機部門の社長に昇格することに伴う決定。[労務]
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