英中銀イングランド銀行は7日に開いた金融政策委員会(MPC)で、政策金利を0.5%に維持することを決めた。金融資産購入による量的緩和策については、4,350億ポンドで維持した。いずれも大方の予想通り。ただ中銀は今回、経済見通しの改善を背景に、従来の予想より早期に、より大幅な利上げが必要になるとの考えを示した。これを受け、市場では早ければ5月にも利上げが行われるとの見方も出ている。
8日に公表された議事録によると、金利の据え置きと金融資産の購入規模の維持はいずれも全会一致で決定した。イングランド銀は昨年11月、インフレ率の加速に歯止めをかけるため、2007年7月以降で初の利上げを実施。政策金利を0.25ポイント引き上げるとともに、向こう3年に同程度の利上げがあと2回以上必要になるとの見方を示していた。ただ、今回の議事録では「11月時点の予想よりも早く大幅な引き締めが必要」と述べ、向こう3年で0.25ポイント程度の利上げが3回以上行われる可能性を示唆した。
2017年12月のインフレ率は3%と、前月からわずかに低下したものの、中銀が目標とする2%を11カ月連続で上回った。インフレ率が3%を超えた場合、中銀総裁は財務相宛ての書簡でその理由と対策を説明するよう義務付けられている。中銀が公表したこの書簡でも、カーニー総裁は利上げの前倒しと利上げ幅の拡大が必要との見方を示している。
■今年の成長見通しを引き上げ
中銀は併せて公表したインフレ報告書で、今年の国内総生産(GDP)が1.7%拡大するとの見通しを示した。前回11月時点の予測1.5%から上方修正している。世界経済が予想以上に伸び、輸出が促されるとの予想が背景にある。
中銀は、インフレ率は短期的には3%前後を推移するとみるものの、国内の生産能力の伸びは1.5%にとどまることから、経済成長率がこれを上回ればインフレ圧力が高まると指摘。この結果、目標値を上回るインフレ率を長期にわたり黙認するとしていた従来の方針を転換し、「通常通り2年以内に目標値まで引き下げるような金融政策をとることが適切」と説明している。
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