政府が電気自動車(EV)向けバッテリー技術の開発を促すために設立したファラデー・インスティテューションは23日、第1弾となる4件のプロジェクトを発表した。総額4,200万ポンドを投じ、国内大学と提携して進める。このうちオックスフォード大学主導のプロジェクトでは、電気自動車(EV)向けの全固体電池の開発に取り組む。
全固体電池は電解質に固体を用いるもので、小型で効率性が高いほか、充電速度が速く、再利用も容易なのが特長。主流のリチウムイオン電池(LIB)に代わると期待されている。オックスフォード大はインペリアル・カレッジ・ロンドンなど国内6大学と協力して全固体電池の開発を目指す。プロジェクト期間は3月1日から2021年2月21日を予定している。ファラデー・インスティテューションは「この研究が成功すれば、英国はバッテリー技術の世界最先端に立てる」としている。
今回発表された他の3件のプロジェクトは、それぞれバッテリー寿命(ケンブリッジ大学主導)、バッテリー・システム・モデリング(インペリアル・カレッジ・ロンドン主導)、バッテリーのリサイクル(バーミンガム大学主導)をテーマとする。
ファラデー・インスティテューションは、政府がバッテリー技術の開発支援に向け総額2億4,600万ポンドを投じて進める「ファラデー・チャレンジ」の一環として設立。オックスフォード大を含む国内11大学によって構成され、研究資金の拠出やプロジェクトの運営を手掛ける。
なお、全固体電池を巡っては企業の開発意欲も高く、昨年9月には英家電大手ダイソンが20億ポンドを投じてEVおよび全固体電池を開発する計画を発表。トヨタ自動車も全固体電池を開発中で、2020年までの搭載を目指しているほか、ドイツのタイヤ・自動車部品大手コンチネンタルは11月、全固体電池の開発に約30億ユーロを投資する方針を明らかにした。今年1月にはルノー・日産自動車・三菱自動車連合が、新設のベンチャーキャピタル(VC)・ファンドを通じて全固体電池の素材を開発する米アイオニック(Ionic)・マテリアルズに投資すると発表している。[日本企業の動向][環境ニュース]
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