英航空エンジン大手ロールス・ロイスは17日、業績不振の商船事業を売却することを検討していると発表した。ウォーレン・イースト最高経営責任者(CEO)が主導する事業のスリム化の一環。同社は併せて、部門数を現在の5部門から民間航空、防衛、パワーシステムズの3部門に再編する計画を明らかにした。
船舶部門の一部である商船事業は、石油・ガス業界向けの船舶設計や設備の提供などを手掛けている。イーストCEOはかねて、商船事業に用いられる技術は他の分野とも関連が深いとして売却に消極的だったが、2016年には部門全体で2,700万ポンドの損失を計上した。
スティーブン・ディンティス最高財務責任者(CFO)は、既に同事業に関心を示している企業はあるものの、事業価値などについて協議するのは時期尚早だとコメント。市場関係者は、米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)やフィンランドの船舶用エンジン大手バルチラ(Wartsila)、独総合電機大手シーメンスなどを引受先候補に挙げている。
ロールス・ロイスは経営再編として、原子力部門の民生用原子力事業をパワーシステムズ部門に統合するほか、原子力部門の潜水艦事業と船舶部門の艦艇事業を防衛部門に組み込む。これにより、原子力部門と船舶部門は廃止され、民間航空部門、防衛部門、パワーシステムズ部門の3部門から成る新体制とする計画だ。再編後の売上高は、民間航空部門が71億ポンド、防衛部門が31億ポンド、パワーシステム部門が29億ポンドとなる。
イーストCEOは、これにより顧客の要望へのより迅速な対応とコスト削減が図れると強調。防衛部門は市場での規模が拡大し、より統合された製品やサービスの提供が可能になるほか、中核技術のイノベーション能力向上や電動化・デジタル化といった分野での機会獲得につながると期待を示した。[M&A]
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