英建設大手カリリオンが15日、経営破綻した。経営不振に陥っていた同社に対して、債権銀行団が追加融資を拒否したため。これにより数百件に上るプロジェクトの先行きが危ぶまれる上、政府はカリリオンが提供する公共サービスの維持に向けて税金の投入を余儀なくされる見込みだ。BBC電子版などが伝えた。
カリリオンは債権銀行団および政府との再建協議に臨んできたが、救済に向けた合意には至らなかった。同社はプロジェクトの遅れや新規事業の低迷を受けて業績が悪化し、2017年上半期(1~6月)は11億2,360万ポンドの純損失を計上。負債は年金赤字を含め15億ポンドに上る。債権銀行団には、英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)やHSBCホールディングス、スペインのバンコ・サンタンデールが含まれている。
カリリオンは英国の建設業界で2位の規模を誇り、政府の主要発注先でもある。政府関連のプロジェクトとしては、高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」のロンドン―マンチェスター間など一部区間を受注しているほか、5万戸に上る国防省の公営住宅の維持管理、全国約900棟の学校施設の運営を手掛ける。全国の鉄道インフラを管理する国営ネットワーク・レールの保守サービスサプライヤーとしても2位に付けている。カリリオンが保有する契約は他社に振り当てられるほか、一部は政府の手に渡る見通しだ。
カリリオンのフィリップ・グリーン会長は、「われわれはここ数日間で事業計画を支えるための融資を確保することができず、誠に遺憾ながら今回の決定に至った」と説明。「会社や従業員、サプライヤー、われわれが長年にわたり誇りを持ってサービスを提供してきた顧客にとって、とても悲しい日だ」と述べた。
下院の行政特別委員会は、政府による調達、外部委託、契約など一連の慣例に問題がなかったかを調査する方針を示している。調査内容には、「大型契約の長期的な実行可能性」や、主要プログラムを運営する上でカリリオンとの契約が最善の選択肢だったかなども含まれる見通し。向こう数週間以内に関係閣僚やカリリオンの経営陣、株主団体、アナリストを召集して証拠の提出を求める。
カリリオンは世界で4万3,000人、うち英国で2万人の従業員を抱える。経営破綻が雇用にどの程度の影響を及ぼすかは明らかになっていない。[労務]
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