欧州連合(EU)で3日、金融資本市場の包括的な規制である「第2次金融商品市場指令(MiFID2)」が施行された。2008年の世界的金融危機を教訓に、投資家保護の強化や市場の透明性の向上などを目指している。
新指令の対象は広範にわたる。たとえば、これまで資産運用手数料に含まれていたリサーチ料の分離が義務付けられるため、資産運用会社はリサーチに対する料金の支払いが必要となる。これにより競争が促進されリサーチ料が低下すると見込まれる。
また、証券取引所を通さず匿名で株式売買を行う私設取引の「ダークプール」に初めて規制が導入され、取引高に上限が設けられる。アルゴリズム取引も規制対象となり、取引活動には要件が課せられる。さらに規制当局がリスクを早期に把握できるように、金融機関は取引について詳細な情報を当局に報告することが義務付けられ、取引に関する全会話の記録も5年間の保管が必要となる。
金融業界では新指令へのコンプライアンス(法令順守)に向けて、この7年間で約20億ドルが費やされたという。ただ、順守を巡る負担が重いため、大手企業に有利になるとの懸念が出ている。またEU加盟国のうち少なくとも9カ国では、新指令に伴う国内法の整備が遅れており、各国で完全に施行されるまでには時間がかかることになる。[EU規制]
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