英中銀イングランド銀行は20日、英国で事業を展開する他の欧州連合(EU)加盟国の金融機関に対し、英国のEU離脱後も従来通りの事業運営を認める方針を明らかにした。英国内の子会社設立は求めないとしているが、これはEUの監督当局の協力が得られることが条件としている。
金融機関は、EU加盟国の1カ国で事業免許を取得すればEU全域で事業を行うことができる。現在、英国に進出するEU大手行はこの金融パスポートを利用し、子会社は設立せず支店を通じて事業を行っている。英国に子会社を置けば、イングランド銀の下部組織であるプルーデンス規制機構(PRA)の監督下に置かれ、英国内で一定の資本を保有することを義務付けられるが、支店を設立するだけならこうした義務はなく英・EU間で容易に資金を移動できる。
PRAはこの日、ブレグジット後に備え、国外行の英支店に対する事業免許付与および監督方針を公表。それによると、英事業の資産総額が150億ポンド以上のEU行の場合、相手国の監督当局から協力が得られるとの合意があれば、支店を通じた事業免許の付与が認められる。イングランド銀はこれについて「EUと英国は今後も監督面で高度な協力関係が続くとの仮定に基づく」と説明。「欧州経済領域(EEA)の銀行・保険会社は、重要なリテール事業を行わない限り支店を通じて英国での事業免許を申請できる」としている。イングランド銀はこの案について2018年2月末まで意見公募を行う。
同行のマーク・カーニー総裁はこの日、英国で事業を展開する欧州の大手行は、ブレグジット後もEUの監督機関からの協力が得られる限りほとんど何の変化にも直面しないと説明。ただ、「われわれは全ての選択肢を保有しており、協力が得られなければこれらの金融機関に影響が及ぶ」と話した。
英国には現在、EEAの銀行が77支店を構えており、このうち23支店が150億ポンド以上の資産を保有している。また、EEAの保険会社の支店も80店舗に上る。
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