仏自動車大手グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)傘下の独オペルは9日公表した経営再建策で、2020年の黒字復帰を目指す方針を明らかにした。工場の閉鎖は行わず、PSAとのシナジー効果や労働時間の短縮を通じてコストを引き下げることにより、同年までに経常利益率を2%に高める。
PSAは3月、米ゼネラルモーターズ(GM)の欧州事業であるオペルと英ボクソールを22億ユーロで買収することで合意。8月に買収取引が完了した際、オペルのミハエル・ローシェラー最高経営責任者(CEO)は100日後に事業戦略を発表するとしていた。オペルとボクソールは1999年から赤字が続いている。
オペルは、PSAとのシナジー効果により2020年までに年間11億ユーロ、2026年までに年間17億ユーロのコストを削減する方針。これに向け、オペルとボクソールは2024年までに全乗用車モデルでPSAのアーキテクチャーを使用する。また、両ブランドが使用する車台(プラットフォーム)を現在の9種類から2種類に、パワートレインを10種類から4種類に減らす。
工場の閉鎖や強制的な解雇は行わないとしているが、フィナンシャルタイムズによると、工場面積を25%削減し、従業員の多くの勤務時間を現在の週40時間から週35時間に切り替える方針。
こうしたコスト削減策の結果、2020年までに新車1台当たりのコストは700ユーロ減り、損益分岐点となる販売台数は年80万台に引き下げられる見通し。オペルとボクソールの2016年の販売台数は116万台だった。
オペルはまた、PSAの下でこれまで遅れていた二酸化炭素(CO2)排出量の削減に取り組む。2024年までに欧州で販売する全乗用車モデルに電気自動車(EV)またはプラグイン・ハイブリッド車(PHV)版を導入する計画で、まず2020年までに計4モデル発売する。オペルの独西部リュッセルスハイム(Russelsheim)の本社工場はPSA全体のR&D(研究開発)センターとし、燃料電池や自動運転技術の研究に取り組む。
経営不振が続いていたオペルは、GMの下では欧州以外の市場への進出を見合わせてきたが、今後は2022年までに20カ所以上の輸出市場に進出する計画だ。[M&A][労務][環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。