世界の政治家や著名人がオフショア企業を通じて巨額の税金を回避していたことを示す大量の文書が、またもや流出した。「パラダイス文書」と呼ばれるこれらの文書のデータ量は、昨年に流出した「パナマ文書」に次ぐ史上2番目の規模。今回のリークでは、英エリザベス女王の個人資産約1,000万ポンドがタックスヘイブン(租税回避地)の企業に投資されていたことなどが明らかになっている。BBC電子版が6日伝えた。
「パラダイス文書」は、「パナマ文書」と同じく南ドイツ新聞が入手。調査報道記者の国際団体ICIJを通じて世界の100社近い報道機関と情報を共有し、内容の分析に当たっている。文書の約半数は、バミューダに本社を置く法律事務所アップルビー(Appleby)から、残りの多くはカリブ海諸国を中心とする19カ国・地域の登記簿から流出した。
それによると、エリザベス女王の所得や投資を管理するランカスター公領は、女王の個人資産5億ポンドのうち約1,000万ポンドを、英領ケイマン諸島およびバミューダのファンドに投資。うち一部は、貧困層を搾取しているとの批判を浴びている家電製品レンタルの英ブライトハウスや、多額の未払い税を抱えて破綻した酒販売チェーンの英スレッシャーズ(Threshers)などに投資されていた。
これらの投資に違法性はなく、女王が意図的に租税回避を行った証拠もない。ランカスター公領は、各ファンドの投資先決定には関与しておらず、女王は個々の投資について関知していないと説明している。
「パラダイス文書」からはこのほか、米国のロス商務長官がケイマン諸島のオフショア企業を通じて投資する海運会社が、ロシアのプーチン大統領の義理の息子が出資する露エネルギー会社を得意先としていることも発覚。米国では、トランプ米大統領とロシア政府の結び付きを巡る捜査が行われているだけに、注目を集めている。
各国の報道機関は今後、同文書の分析に基づく新情報を随時、報じる見通しで、新たなスキャンダルの発覚はまだ続きそうだ。
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