スペイン北東部カタルーニャ自治州の州議会は27日午後(現地時間)、スペインからの独立宣言の実施を70対10の賛成多数で承認した。これにより、正式に独立宣言に踏み切った格好だ。一方、スペイン上院は同日、憲法第155条に基づき同州の自治権を停止する決議案を可決。プチデモン首相をはじめ、議会や警察の幹部を更迭するほか、州議会を解散させ12月21日に選挙を実施することを決定した。BBC電子版などが伝えた。
ラホイ首相はこの日開いた会見で「民主主義を立て直すため、自由で健全で合法な選挙を直ちに行うことを決めた」と述べ、同州の直接統治を進める方針を示した。28日にはプチデモン首相の職をサエンス副首相に代行させるほか、州警察のトップを解任し、内務省がこれを管轄することを決定した。
一方のプチデモン首相は中央政府の直接統治を拒否した上で「民主主義的な抵抗」を呼び掛け、引き続き「自由な国の創設」を目指すと宣言。中央政府の広報担当官は、プチデモン氏が12月の選挙に出馬することに前向きなコメントを発しているが、検察当局は同氏などを反乱罪で近く訴追するとみられており、今後の展開は不透明だ。
なお、今回の事態を受け、カタルーニャ住民の意見は割れているもようだ。地元紙エルパイスが28日に発表した世論調査では、自治州議会の解散し新たな選挙を実施することを52%が支持し、反対する43%を上回った。さらに独立宣言については55%が反対し、賛成する41%と大きな開きを見せた。バルセロナでは29日、国家の結束を訴え、数十万人がデモを行った。
なお、トゥスク欧州理事会議長(EU大統領)はこれに先立つ27日、欧州連合(EU)側には、カタルーニャ自治州の独立宣言に伴う変化はなく、欧州連合(EU)は今後も中央政府のみを対話相手とする意向を示した。
カタルーニャ自治州は10月1日、憲法裁判所の違憲判断を押し切って住民投票を決行。有権者約230万人が投票し、90%が独立を支持した。中央政府は、独立宣言撤回の最終期限を19日に設定していたが、同州はこの日、中央政府が抑圧を続ける場合、一方的な独立宣言を辞さない意向を示した。政府はこれを受け、同州の自治権を停止する方針を固めていた。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。