独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラルモーターズ(GM)、トヨタ自動車などを代表する自動車業界団体などが24日、新たな連合を結成した。米国の北米自由貿易協定(NAFTA)脱退を示唆するトランプ大統領に残留を促す狙い。ロイター通信などが伝えた。
「ドライビング・アメリカン・ジョブズ(Driving American Jobs)」と命名された連合には、米国自動車部品工業会(MEMA)や米国国際自動車ディーラー協会(AIADA)などが参加。NAFTAの崩壊で労働市場に深刻な問題が生じるのを防ぐことに主眼を置く。向こう4週間で50万ドル超を投じて、NAFTAの自動車業界に関する条項の維持に向けた広報キャンペーンを展開する計画だ。
今年に入り自動車業界では、総額95億ドルの対米投資計画が明らかにされている。NAFTA加盟3カ国間の年間貿易高は1兆2,000億ドルに上るが、同連合は、米国が脱退した場合に米自動車業界の労働市場は危機に直面すると警鐘を鳴らす。米国自動車工業会(AAM)のジェニファー・トーマス副会長は「NAFTAからの脱退により米国内の自動車生産量は落ち込み、失業者が増えるほか、新車価格も跳ね上がる」と予想。また、海外市場への自動車輸出にも影響が及ぶと話している。
トランプ米大統領はかねて、NAFTAが米国の貿易収支や雇用に悪影響を与えているとして、協定内容の見直しまたは脱退に言及。直近の協議では、自動車に対する輸入関税撤廃の条件として、加盟国間での部品調達率を従来の62.5%から85%超に引き上げ、このうち米国製部品を50%以上とすることを要求。これが現実となれば、NAFTAによる市場自由化の恩恵を受けてきた自動車業界は、サプライチェーンの再編や関税の支払いが余儀なくされ、大きな打撃を受けるとみられている。[労務][日本企業の動向]
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