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日立の新車両、営業運転開始 ウェールズ行き高速鉄道で

日立製作所が手掛けた英国の都市間高速鉄道計画(IEP=Intercity Express Programme)向け新車両「クラス800」が16日、グレート・ウェスタン線(ロンドン―ウェールズ・スウォンジー)で営業運転を開始した。この日は英国で組み立てた7編成(35車両)が導入され、通勤客らが最新車両の乗り心地を体感した。

IEP向け「クラス800」と正井執行役常務(EMB撮影)

IEP向け「クラス800」と正井執行役常務(EMB撮影)

IEPは、1970年製造の長距離列車車両「インターシティー125」の老朽化に伴い、新車両に切り換えるもの。日立の正井健太郎執行役常務兼鉄道ビジネスユニット最高執行責任者(COO)はこの日、ロンドンのパディントン駅で開かれた記者会見で、新車両は2009年に英国で納入した高速鉄道向け車両「クラス395」の経験を生かし、「最先端の技術を織り込んだ」とコメント。ロンドン地下鉄(LU)の車両入札にも参加しており、高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」も含めて英国での受注を拡大していきたいと意欲を示した。

英国の欧州連合(EU)離脱を巡る影響については「英国内の鉄道需要は堅調で当面は問題ない」とし、イタリアに日立レールイタリアを擁することから柔軟な対応が可能との見方を示した。神戸製鋼所がアルミ製部材の品質データを改ざんした問題に関連し、今回の車両の一部に同社製アルミが使用されているものの、安全性に問題はないと強調した。

今回導入された車両は、電化区間に加え、ディーゼルエンジンにより非電化区間の走行も可能な「バイモード」となっている。最高時速は約200キロメートル。走行区間は一部電化されており、全線の電化作業完了後は走行時間が15分短縮される見込みだ。加えて、車内でWi―Fi(ワイファイ)サービスが利用できるほか、自転車や大型スーツケースの収納場所が設置されている。

日立はIEPを巡って、グレート・ウェスタン線向けに計369両を受注。残りの車両は2018年内の納入完了を見込む。来年にはイーストコースト線(ロンドン―スコットランド・アバディーン/インバネス)でも営業運転開始を予定しており、こちらには計497両が納入される。また、日立は両線について向こう27年半のメンテナンス事業も担う。同社はこれらの車両製造に向け、2015年にイングランド北東部ダラム近郊のニュートンエイクリフ(Newton Aycliffe)で工場を開所。月産能力は35~40両で、約960人が雇用されている。

日立は現在、スコットランドの鉄道路線スコットレール(Scotrail)向けの近郊車両「AT-200」など、英国内で計1,630両を受注している。[日本企業の動向][労務]


関連国・地域: 英国イタリアアジア
関連業種: 鉄鋼・金属その他製造運輸IT・通信

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