オーストリアで15日、国民議会(下院、定数183)選挙の投開票が行われ、クルツ欧州・国際関係相(31)率いる中道右派の国民党(OVP)が得票率31%超を獲得し、第1党の座を確実にした。クルツ氏が首相に就任する見通しで、国家元首として史上最年少となる。ただ、単独では過半数には遠く及ばず、反移民を掲げる極右の自由党(FPO)との連立が有力視されている。BBC電子版などが伝えた。
オーストリア公共放送局(ORF)によると、開票率90%の時点でOVPは62議席を獲得する見込み。クルツ氏は支持者の前で演説を行い、「われわれは不可能を可能にした。支持者の応援と歴史的な成功に感謝している」と述べた。
FPOは得票率27.4%で53議席、ケルン首相率いる社会民主党(SPO)は得票率26.7%で52議席と、第2党の座を巡って接戦を繰り広げており、郵便投票の開票結果で第2党が正式に決まる。
クルツ氏は若手で人気が高く、今年5月にOVPのミッテルレーナー前党首の辞任を受けて後任に就任。OVPとSPOは国内経済回復に必要な各種改革で合意に至らず、クルツ氏がSPOとの連立解消を訴えたことが、今回の解散総選挙の引き金となった。クルツ氏は連立相手について明言していないが、移民に厳しい政策をとるOVPと立場を同じくするFPOと手を組むとみられている。今回の敗北を受けてケルン氏が失脚すれば、再びSPOをパートナーとする可能性も残されているが、ケルン氏はSPOの党首にとどまる方針を示している。
一方、FPOのシュトラーヒェ党首はかねて、OVPが移民制限などの政策を真似したと批判。新政権の連立相手と有力視されることに否定的だが、「どんなことも起こり得る」とした上で、「ひとつはっきりしていることは、約60%の有権者がFPOのプログラムに賛同したということだ」とコメントした。FPOが政権入りを果たせば、過去10年超で初となる。
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