欧州委員会は11日、電気自動車(EV)向け電池の開発・生産で欧州の関連企業を結集する「同盟」を立ち上げる方針を明らかにした。アジアや米国の電池関連メーカーに対抗するため、欧州航空・防衛最大手エアバスのような域内のコンソーシアムを目指す。来年初めに戦略計画を採択し、2月にも「EUバッテリー・アライアンス」のロードマップをまとめる考えだ。
欧州委のマレシュ・シェフショビチ・エネルギー同盟担当委員は、「欧州では電池セルの製造基盤が欠如しているため、サプライチェーンの安定確保の問題や輸送によるコスト上昇、納期の遅れ、品質管理の低下、設計の制約によりEU企業の地位が危うくなる」と指摘。競争面での不利な立場を克服し、素材からシステム統合やリサイクリングまで電池のバリューチェンのさまざまな分野で主導権を握るため、結集して早急に行動する必要性を強調した。
この日の欧州委の会合には、独化学大手BASF、自動車大手の仏ルノーや独ダイムラー、独総合電機大手シーメンスなどが参加。独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)や仏産業用電池製造大手サフト(Saft)、独タイヤ・自動車部品大手コンチネンタル、ベルギーの触媒・非鉄金属大手ユミコアなども協議に加わる意向を示している。
欧州の自動車メーカーはEV向けの電池パックを組み立てているものの、欧州には有力な電池セルのメーカーがない。このためパナソニックやNEC、韓国のLG化学やサムスンSDI、中国のBYD(比亜迪)やCATL(寧徳時代新能源科技)、米テスラなどが市場を握っている。
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