欧州連合(EU)市民の大半が、域内の国際ローミング料金撤廃の恩恵を感じている――。EUの世論調査「ユーロバロメーター」の最新調査から、こうした事実が明らかになった。撤廃の事実は市民の71%が認知しており、自分や知人に恩恵があると考える人も全体の72%に上っている。
EU域内の国際ローミング料は6月15日に撤廃された。今回の調査は、撤廃後初の夏季休暇が終わりに近づいた8月28~29日に実施された。それによると、6月15日以降に域内を旅行した回答者のうち、「旅行中も普段と同じ頻度でモバイルデータを使用した」と答えた人は31%に上り、国際ローミング料の撤廃前の水準(15%)から2倍以上に増えている。また、「他国では1度もモバイルデータを使用しなかった」と答えた人は21%と、撤廃前の42%から半減。旅行中にデータ通信を制限した人も20%から12%に減っている。一方、通話についてはなお60%が「旅行中は制限する」と答えている。
欧州委員会によると、域内の携帯電話事業者の数社が、昨年の夏と比べてデータ通信料が3~6倍に増えたと報告しており、中にはそれ以上に伸びたケースもある。その一部は国内市場のデータ通信量の増加傾向によるものの、大部分はローミング料撤廃の効果とみられている。また、通話もデータ通信ほどではないが増加しているという。これを受け、複数の携帯電話事業者が観光地の通信インフラへの投資を増やしたと報告している。
欧州委のマリヤ・ガブリエル・デジタル経済・社会担当委員は、「これはEUが欧州市民の生活を具体的に改善した好例だ」と強調。「ローミング料撤廃は消費者にも事業者にも恩恵をもたらしている」と話している。[EU規制]
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