英政府は14日、新データ保護法案の文面を発表した。金融・報道機関などへの適用を除外する案が含まれている。
新データ保護法は、1998年データ保護法をデジタル化の進展に合わせて改正するとともに、欧州連合(EU)データ保護規則(GDPR)を国内法に置き換えるもの。政府は8月、改正法では個人情報の保護を強化する方針を明らかにしていた。
ただ今回、発表された文面によると、◇金融機関がテロ資金やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いに基づく調査を行う場合◇報道機関が報道の自由や不正の暴露を目的に個人データを利用する場合◇大学や博物館などが歴史・科学の研究を行う場合◇ドーピング防止機関が選手の薬物テストを行う場合◇従業員が雇用法上の義務を果たすために機密情報を利用する場合――については、適用を除外するとしている。
その他の文面は、8月に発表された方針に沿うもので、違反企業に対しては、最大1,700万ポンドまたは世界売上高の4%の罰金を科すとしており、現行法の最大50万ポンドから大幅に引き上げられている。また、国民が個人データの削除を企業に要請できるようにするほか、個人データの使用に対する同意を撤回しやすくする。企業が機密性の高い個人データを処理する場合には、本人から明白な同意を得ることを義務付ける。さらに、匿名・仮名のデータから本人を特定することを刑事犯罪とする。
同法案には、ブレグジット後も引き続き英・EU間で円滑にデータをやり取りできる環境を確保する狙いがあり、今回、打ち出された措置の多くは、GDPRにも盛り込まれている。GDPRは旧データ保護指令に代わるものとして、2016年に発効。EU加盟各国は2018年5月25日までにこれを国内法化するよう義務付けられている。
■財務相「金融監督でEUと協力する」
ハモンド財務相は、英国のEU離脱後もロンドンの金融街シティーの監督でEUと協力する方針を明らかにした。英国がブレグジット後に金融規制緩和を行うことを懸念するEUに対し、歩み寄る姿勢を示した格好。フィナンシャルタイムズが同相の13日の演説を元に伝えた。
シティーの金融機関は、ユーロ建て取引の清算の大半を手掛けるなど、EUと深く結び付いている。ハモンド財務相は「EUがブレグジット後の金融規制を懸念するのはもっとも」と理解を示す一方、EUが金融安定を口実にシティーから清算事業などを奪うことは容認しない構えを見せた。政府は間もなく金融サービス分野に関するブレグジット交渉の方針説明書を発表する見通し。[EU規制][労務]
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