スペイン北東部カタルーニャ自治州が10月1日に分離独立の是非を問う住民投票を実施する計画を進めている問題で、スペインの憲法裁判所は住民投票の実施に向けた州法を差し止める判断を下した。ただ、自治州政府が投票を断行する構えを見せていることから、検察当局が投票用紙の押収を命じる事態となっている。BBC電子版などが12日伝えた。
カタルーニャ自治州の州議会(定数135)は9月6日、住民投票を実施するための法案を可決。スペイン政府はこれを違法と見なし、憲法裁に差し止めを求めていた。この法案には住民投票の実施に加え、新たな国家を制定するための枠組みも含まれ、仮に住民投票で賛成多数となれば48時間以内に独立を宣言する運びとなっている。投票の質問は「カタルーニャを共和国として独立させたいか」で、既に投票箱や投票用紙などの準備も整っていた。
カタルーニャ地方検察局は投票を阻止するため、投票用紙やちらし・パンフレット類など住民投票実施に用いられるものを全て押収するよう治安部隊に命じた。
スペイン政府は、同自治州のプチデモン州首相には住民投票を実施する権限はないとの見解を示しており、メンデスデビゴ教育・文化・スポーツ相兼政府報道官は、「住民の意向を問うなら選挙を行うべき」と批判している。
AP通信によると、同自治州の州都バルセロナでは、州の祝祭日「カタルーニャの日」に当たる11日、数万人の住民が独立を求めるデモ行進を行った。ただ、同自治州の住民を対象とした最近の世論調査では、住民投票の実施は過半数が支持しているものの、独立への支持は衰えを見せている。政府が6月に実施した調査では、独立に賛成する人は41%と、残留支持派の49%を下回っている。
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