欧州中央銀行(ECB)は7日開いた政策理事会で、ユーロ圏の市場介入金利(最重要の政策金利)を過去最低のゼロ%に据え置くことを決めた。中銀預入金利もマイナス0.4%で維持。いずれも大方の予想通り。
量的緩和策についても、予定通り今年12月末までは毎月600億ユーロ規模の資産購入を続ける方針を示した。ただ今回は、量的緩和策の縮小に向けた協議に着手しており、10月に開かれる次回の政策理事会で決定を下すとしている。
ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、量的緩和策の縮小について「ごく予備的な話し合いを行った」とコメント。特に、資産購入プログラムの期間や毎月の購入規模について、複数のシナリオとそれらが経済に与える影響を検討したと話した。また、購入する資産の種類を変更する案も協議したという。
市場では来年1月から資産購入規模が縮小されるとの見方が強い。欧州連合(EU)の統計局ユーロスタットがこの日発表したユーロ圏の2017年第2四半期(4~6月)の実質域内総生産(GDP、改定値)は前期比0.6%増と、伸びが第1四半期の0.5%から加速。また、ユーロ圏の8月のインフレ率は1.5%と、伸びが7月から0.2ポイント加速し、過去4カ月で最高を記録している。ただ、ECBが目標とする2%は6カ月連続で下回っており、これが量的緩和からの脱却を巡る議論を複雑にしている。
■ユーロ圏経済見通しを引き上げ
ECBは併せて公表した四半期ごとの内部経済予測で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)成長率が2.2%になるとの見通しを示した。前回6月時点の予想から0.3ポイント上方修正している。2018年と2019年の見通しはそれぞれ1.8%と1.7%に据え置いた。
一方、ユーロ圏の今年のインフレ率見通しは前回と同じ1.5%とした。2018年の見通しは1.2%、2019年も1.5%と、目標の2%をなお下回ると予想。通貨ユーロの値上がりを背景に、共に前回から0.1ポイント引き下げている。
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