英国で事業展開する自動車大手各社が1日までに、旧型車両からの買い替え時に値引きするキャンペーンをこぞって開始した。独フォルクスワーゲン(VW)は既にドイツで行っている制度を英国でも導入。トヨタ自動車や日産自動車も追随しており、排ガス不正問題などをきっかけにカーオーナーの環境意識が高まる中、顧客争奪戦の様相を呈している。
VWは2009年12月31日以前に登録された欧州連合(EU)の旧排ガス基準「ユーロ4」以前のディーゼル車を廃車にすることを条件に、現行基準「ユーロ6」に準拠した新車を最大6,000ポンド値引きする。保有車両のメーカーやモデルは問わない。値引き額はモデルによって異なり、例えばVWブランドではコンパクトカー「up!(アップ)」が1,800ポンド、主力の「ゴルフ」が4,000ポンド、中型セダン「パサートGTE」が最高の6,000ポンドとなる。
トヨタの新車値引き額は最大4,000ポンド。7年以上前に登録され、6カ月以上保有した車両(メーカー問わず)から買い換えることが条件となる。12月31日までの期間限定で、「アベンシス」「ヤリス」「アイゴ」「RAV4」「プリウス」など12モデルが1,000~4,000ポンド割引される。
日産は、電気自動車(EV)「リーフ」の24キロワット時版の認定中古車に乗り換える場合に最大2,000ポンド値引きする。2009年末までに登録された旧排ガス基準「ユーロ5」以前の車両保有者が対象だ。他に「マイクラ」や「ジューク」「キャシュカイ」などの新車も値引きの対象となる。
このほか、仏ルノーや韓国・起亜自動車も同様のスキームを開始。先には米フォード・モーター、独BMW、独ダイムラー傘下の高級車メルセデス・ベンツ、仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)傘下の英ボクソール、起亜の親会社である現代自動車が値引き制度をスタートさせており、足並みをそろえた格好だ。
EUは1日、欧州市場で販売される自動車を対象に新たな排ガス試験を導入。VWの不正で問題となった試験場内の検査を厳格化するとともに、路上走行時の試験が新たに加わる。また英政府は7月、2040年までにディーゼル車とガソリン車の販売を全面的に禁止する方針を発表。健康リスクの主因となる窒素酸化物(NOx)の水準が高まる中、EVへの完全移行を目指すもので、禁止の対象にはハイブリッド車(HV)も含まれる見通し。[環境ニュース][EU規制]
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