一部モデルの排ガス不正が問題になっているディーゼル車を巡り、政府と地方自治体、自動車産業は2日、全国ディーゼル会議の初会合を開き、国内のディーゼル車500万台以上を対象にメーカーの費用負担で大気汚染物質の排出量を減らすためのソフトウエア修正を施すことを決めた。独自動車工業会(VDA)が発表した。高価な部品交換には踏み込まず、ディーゼル車の締め出しを回避できるめどが立ったことは自動車業界にとって朗報となる。
ソフトの無料修正に合意したのは、フォルクスワーゲン(VW)、ダイムラー、BMW、仏グループPSA傘下のオペルの4社。欧州連合(EU)の旧排ガス基準「ユーロ5」と「ユーロ6」に準拠したディーゼル車の大部分を対象に無料修理を行う。対象車両500万台超の中には、VWが既に修理を施した車250万台も含まれる。手を加えるのはソフトだけで、部品などハードウエアの交換は行わない。メーカー側はこれにより、窒素酸化物(NOx)の排出量を平均25~30%低減できると見込む。また、ソフトを修正してもエンジンの性能や燃費、寿命には一切、影響はないとしている。
会議ではほかに、持続可能な都市交通の振興に向けた基金を設立することや、旧式のディーゼル車の買い替え促進策もまとめた。
ドイツではミュンヘン市やシュツットガルト市など一部都市がディーゼル車の締め出しを検討している。こうした中、運輸省と環境省は自動車業界や地方自治体と話し合うため、6月に全国ディーゼル会議を創設。ディーゼル車からの大気汚染物質の排出量を抑える新たな措置を検討してきた。一方で、自動車業界の側にも、政府が新措置を導入すればこれらの都市が締め出し策を再考するとの期待がある。
VDAは会議後に出した声明で「自動車産業は自らの信頼が大きく低下したことを認識している」とコメント。「信頼回復に取り組むことは自動車業界の最大の関心事であると共に、業界だけでなく顧客や従業員、ドイツのためにもなる」と述べている。[環境ニュース][EU規制]
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