金融行為規制機構(FCA)は7月31日、事前に取り決めていない想定外の当座貸越に課す手数料の禁止を検討していると明らかにした。こうした手数料は銀行のリスクを勘案しても高すぎるうえ、複雑で消費者には分かりにくいためという。
FCAは、想定外の当座貸越には大きな懸念を持っており、「提供方法に根本的な変革が必要になる可能性がある」と指摘。ただし手数料の禁止は1つの選択肢であり、手数料に上限を設けることや銀行が貸し付ける前に何らかの返済能力の審査を求める可能性もあるとしている。
英金融大手ロイズ・バンキング・グループは今月初め、11月から想定外の当座貸越の手数料を廃止すると発表。英同業大手バークレイズは既に想定外の当座貸越をやめている。英競争・市場局(CMA)は昨年、想定外の当座貸越の手数料に業界全体で上限を設けることは見送ったものの、銀行に対して顧客への事前通知と独自に上限を設定することを義務付けた。
FCAは、ほかにも高コストの融資商品を検討する一環として、電化製品などの購入選択権付きレンタルや自動車金融などにも懸念を示した。いずれも来年第1四半期(1~3月)中には検討結果を公表する予定だ。
なお、資金繰りに困った消費者を対象に高金利で短期融資を行う「ペイデイローン」については、FCAが2015年に規制を強化し、ローンの金利・手数料の合計額を日割りで元本の0.8%以下とすることを義務付けた。これにより76万人が合わせて年に1億5,000万ポンドの返済を節減し、返済能力のない顧客に貸し付ける可能性も減ったという。FCAはペイデイローンの金利・手数料の上限を維持するとともに、2020年に改めて検討する方針を示した。
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