独南西部シュツットガルトの地方行政裁判所は28日、市内へのディーゼル車の乗り入れ禁止を求める独環境団体DUHの訴えを支持する判決を下した。大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)の排出量を引き下げるため。同市がこれを実行すれば、ディーゼル・エンジンの無償改修による規制回避を狙っていた自動車大手各社にとって打撃となる。ロイター通信が伝えた。
同裁判所は、ディーゼル車の全面禁止は欧州連合(EU)法に違反しないと判断。「市民の健康確保は、自動車オーナーの財産権や自由より重要」として、2018年1月1日からディーゼル車を禁止するようシュツットガルト市に命じた。無償改修による対応では不十分で、時間がかかり過ぎると指摘している。この判決を巡っては、反対派が連邦行政裁判所に上訴すると予想されている。
ドイツ連邦環境省(UBA)の調査によると、シュツットガルトの大気中の汚染物質濃度は国内で最も高い。同市には、独自動車大手ダイムラーや同業フォルクスワーゲン(VW)の高級車部門ポルシェが本社を置く。
ドイツでは他にもミュンヘン市などがディーゼル車の締め出しを検討している。政府と独自動車産業はこれを回避するため、自動車会社がEUの旧排ガス基準に準拠したディーゼル車を対象にエンジンのソフトウエア改修を無償で行うことで合意しており、8月上旬にも正式に発表される見通し。ただ、他の大都市はかねてこの裁判の行方に注目しており、シュツットガルトで実際にディーゼル車が禁止されれば、これに追随する都市も出てくるとみられている。
■独自動車カルテル、ボッシュも参加か
独自動車大手5社が排ガス不正の原因となった技術カルテルを結んでいたとされる問題で、独自動車部品大手ロバート・ボッシュもこれに参加していたことが、VWが独競争当局に提出した追加の証拠書類から発覚したもようだ。週刊誌シュピーゲルが28日伝えた。
シュピーゲルは先に、ダイムラーと高級車BMW、VWとその高級車部門アウディおよび高級スポーツカー部門ポルシェが国外の競合に対抗するため1990年代から新車に搭載する技術について密かに話し合い、排ガス処理に必要な尿素水「アドブルー(AdBlue)」の使用量を制限することで合意していたと報じていた。新たな証拠によると、ボッシュはアドブルーの消費を抑制するシステムを提供していたとみられる。これに対し同社は、「独当局からもEU当局からも一切、問い合わせはなく、報道に過ぎない」とコメントしている。[EU規制][環境ニュース]
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