英政府は26日、2040年までにディーゼル車とガソリン車の販売を全面的に禁止する方針を明らかにした。健康リスクの主因となる窒素酸化物(NOx)の水準が高まる中、電気自動車(EV)への完全移行を目指すもので、禁止の対象にはハイブリッド車(HV)も含まれる見通し。英国では現在、全車両に占めるEVの比率が1%未満で、今回の決定はEVの普及推進に向けた大きな一歩といえる。
政府は併せて、地方自治体によるディーゼル車の排ガス対策を支援するため2億5,500万ポンドの基金を設立する。自治体はこの資金を、渋滞解消に向けた道路配置の変更、信号機やスピード防止段差の撤去、バスの改良などに充てることができる。自治体はこれに向けて8カ月以内に草案を出し、来年末までに最終計画を策定する必要がある。
これらの計画は、大気保全と自動車の排ガス削減に取り組む総額30億ポンドのプログラムの一環。既に、超低排出車に関連して10億ポンド、自転車と歩行者の環境整備に12億ポンドなど計27億ポンドの配分先が決まっている。
政府は今回の決定に先立つ5月、大気汚染の緩和策の試案を公表。英高等法院は、従来の政府案では欧州連合(EU)が定めるNOxの基準を満たすのに不十分だとして、5月中に草案をまとめ、最終案を7月末までに提出するよう求めていた。
英国は、EUが定めるNOxの年間排出目標を順守できていない17カ国のうちの1つ。国内の主要道路1,800本超のうち、4%に当たる81本が二酸化窒素(NO2)の法定基準を超過しており、33本はロンドン市外にある。
EVへの移行に向けた動きは国内外で加速しており、フランスのマクロン大統領も先に、2040年までにガソリンおよびディーゼル車の販売を終了する方針を明らかにした。
また、独高級車大手BMWは、「ミニ」ブランドの電気自動車(EV)モデルをイングランド南東部のオックスフォード工場で生産すると発表。中国の自動車大手、浙江吉利控股集団傘下の高級車メーカー、ボルボ・カー・コーポレーション(ボルボ・カーズ、スウェーデン)は、2019年以降に発売する新車を全て電気自動車(EV)またはハイブリッド車(HV)とする方針を明らかにしている。[環境ニュース][EU規制]
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