ドイツ政府と独自動車産業の間で、ディーゼル車の都市部からの締め出しを回避するための救済案がまとまったもようだ。大気汚染物質の排出量を抑えるため、自動車会社がエンジンのソフトウエア改修を無償で行うことで合意したという。業界筋および政府筋の話を元に、ロイター通信が21日伝えた。
ドイツ国内の車両のソフト更新にかかる費用は20億ドル弱に上り、このうち1台当たり約100ユーロを自動車会社側が負担する見通し。対象となるのは、欧州連合(EU)の旧排ガス基準「ユーロ6」と「ユーロ5」に準拠したディーゼル車。これにより、大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)の排出量を約20%引き下げられる見込みだ。
ドブリント運輸相と自動車産業の幹部は8月2日に会談し、同月上旬にこの計画を発表する予定とみられている。
ドイツではミュンヘン市やシュツットガルト市など一部都市がディーゼル車の締め出しを検討している。こうした中、自動車業界の側にも、政府が新措置を導入すればこれらの都市が締め出し策を再考するとの期待がある。20日にはミュンヘン市を擁する南部バイエルン州政府が、ソフトの更新や低排出の最新型ディーゼル車への買い替え支援といったディーゼル車救済策を発表し、禁止措置には同調しない姿勢を示していた。
■アウディ、ディーゼル車85万台を無料修理
独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の高級車部門アウディは21日、米国とカナダを除く世界の全市場で販売した最大85万台のディーゼル車について、ソフト回収のためのリコール(無料の回収・修理)を実施すると発表した。政府との合意に基づく措置。
ソフト更新の対象は、「ユーロ5」と「ユーロ6」適合の6気筒および8気筒「TDI」エンジン搭載車。18日には独自動車大手ダイムラーも、高級車部門メルセデス・ベンツの約300万台のディーゼル車を対象に無償でソフト改修を行う方針を明らかにしていた。[環境ニュース][EU規制]
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