英政府は19日、クレジットカードなどで支払う際に消費者から手数料を徴収することを来年1月から禁止すると発表した。ただし事業者の中には、費用を価格に転嫁するところが出てくるとの見方も出ている。
手数料の徴収は、航空券の購入やテイクアウト料理の注文アプリのほか、小規模な店舗や地方自治体、公共機関でも行われている。クレジットカードだけでなくデビットカードや決済サービスのペイパルによる支払いでも徴収されることがある。欧州連合(EU)の指令ではビザカードやマスターカードでの支払いに対する手数料の徴収を禁じたが、政府は禁止の対象をアメリカン・エキスプレスのカードやペイパルにも広げている。
たとえば英格安航空大手フライビーでは、クレジットカードでの支払いには料金の3%、または最低5ポンドを徴収。アイルランドの同業大手ライアンエアーでは2%となっている。テイクアウト料理の注文アプリでは50ペンスを上乗せするなどの例があり、地方自治体などでも2.5%程度の手数料を徴収するところが多い。政府はこうした手数料の徴収額は、2010年だけで合わせて4億7,300万ポンドに上ると推定している。
ただ銀行は小売事業者などに対し、デビットカードについては1回につき10~20ペンス、クレジットカードに対しては価格の0.6%程度を徴収しているため、事業者には新たな負担となる。航空会社など大手企業は価格競争力を維持するため、こうした費用を負担するとみられるが、小規模な事業者では価格に転嫁して値上げに踏み切る可能性があるという。[EU規制]
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