ウクライナ東部を実効支配している親露派武装勢力の指導者が18日、ウクライナに代わる新国家「マロロシア」の樹立を一方的に宣言した。ウクライナ政府軍と親露派が2015年2月に締結した停戦合意のミンスク協定に違反するもので、対立が深まることが懸念される。
親露派の実効支配下にある「ドネツク人民共和国(DPR)」の指導者であるザハルチェンコ氏は、クリミア半島を除くウクライナ全体の新国家を樹立し、首都を東部のドネツクに置くとした。マロロシアとは「小ロシア」の意味で、帝政ロシア時代のウクライナの呼称だったため、ウクライナでは不快と感じる人も多い。
これに対してウクライナのポロシェンコ大統領は、ザハルチェンコ氏を「ロシア政府のメッセージを伝える人形」にすぎないと非難。国家安全保障・防衛会議のトゥルチノフ書記も「紛争の平和的解決を阻止するロシアの挑戦的な計画」と断じた。
一方、ロシア大統領の報道官は、国家樹立宣言はザハルチェンコ氏個人が主導したもので、「ロシア政府はミンスク協定を引き続き順守する」として関与を否定。ドイツ政府は「全く受け入れがたいもの」と強く批判している。
なおフィナンシャルタイムズによると、同じくウクライナ東部を実効支配する「ルガンスク人民共和国」は、マロロシアの樹立について同意していないとしている。
ウクライナ政府とロシア政府、ウクライナ東部の親露派の代表は19日、ミンスク協定を結んだベラルーシの首都ミンスクで会合を開き、協定の履行について協議することになっていた。
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