エストニアは、ルクセンブルクで来年初めに世界初の「データ大使館」を開設する。国外のサーバーで政府のデータやシステムのバックアップを行う狙いで、大使館と同様の治外法権が認められる。
エストニアのラタス首相とルクセンブルクのベッテル首相は6月、これに向けた協定を交わした。データ大使館では、エストニア政府の税金や土地、企業、国民の身元証明書類、年金、法規制、国税調査などのデータをバックアップ保存するほか、必要に応じて政府のシステムを立ち上げる機能を持たせる。エストニアのルクセンブルク大使館はベルギーのブリュッセルにあるが、同大使館とは直接的に接続せず、また職員も配置しない。
エストニア経済・通信省の広報官はAFP通信に対し、「データ大使館の主目的はデジタルな継続性を確保し、必要な時に国外からシステムを起動したりデータを取り出せるようにすること」と説明。「そのためには、国外にありながら大使館と同様、エストニアの完全な管轄下にあるサーバーが必要」と話す。
エストニアはデジタル化に積極的なことで知られる。行政サービスのほとんどが電子化されており、2005年には世界に先駆けて電子投票を採用。また、同国の首都タリンには北大西洋条約機構(NATO)のサイバー防衛センターが設置されている。ただ、2007年にはロシアのハッカー集団の犯行とみられるサイバー攻撃により、政府や銀行、メディアのシステムが2週間にわたりダウン。その後、クラウド・サービスの利用によるバックアップに取り組んできた経緯がある。
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