トルコで15日、クーデター未遂事件から1年が経過した。同国最大都市のイスタンブールでは当時反乱軍が占拠したボスポラス海峡に架かる「7月15日殉死者の橋」に市民が集結し、エルドアン大統領が演説を行った。BBC電子版などが伝えた。
2016年7月15日夜に発生したクーデターは一晩で制圧されたものの、反乱軍に抵抗した市民250人余りが死亡したほか、2,196人が負傷した。同大統領は犠牲者を追悼するとともに、同国の民主主義と政府を守った人々を称賛した。また、クーデターの首謀者を極刑に処すべきとの考えを改めて示し、死刑制度復活への含みを持たせた。
トルコ政府は14日、クーデター未遂事件に関わったとして、警察官や教師など7,000人以上を新たに解雇した。政府はかねて、米国亡命中の宗教指導者フェトフッラー・ギュレン氏がクーデターに関わっていたと主張し、同氏に賛同する人々の摘発に取り組んでいる。事件以降、容疑者として逮捕されたのは5万人以上、公職から永久または一時的に追放されたのは15万人超に上った。
また議会は15日、昨年7月20日から敷かれている非常事態宣言について3カ月の延長を可決した。延長は4回目で、2年目に突入する格好。非常事態宣言下では、内閣が議会を通さずに新法を制定できるほか、状況に応じて市民の自由や権利を制限することが可能となる。
トルコではこのほか、報道の自由の制限や、大統領の権限強化や任期延長を定めた改憲案の国民投票での可決など、民主主義上の懸念材料が増えており、人権保護団体や西側諸国からは、エルドアン大統領がクーデターを口実に反対派を一掃することを狙っていると危惧(きぐ)する声が上がっている。欧州議会は先に、トルコとの欧州連合(EU)加盟交渉を即時停止すべきとする決議を圧倒的多数で可決。トルコ国内でも、イスタンブールで大規模な反政府デモが発生しているなど緊張が高まっている。
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