英政府は17日、高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」の第1期区間の鉄道橋やトンネルなどについて、発注先を発表した。英建設大手のカリリオンとバルフォア・ビーティー、スウェーデン同業のスカンスカ、仏複合企業ブイグ(Bouygues)建設部門がそれぞれ合弁を組んで受注している。受注額は合わせて66億ポンドで、HS2関連の発注としてはこれまでで最大規模となる。
第1期区間はロンドン―バーミンガム間で、2026年の完工を予定する。今回の発注内容は、この区間の鉄道橋とトンネル、盛り土の設計・建設工事で、うち南部地域はスカンスカが英同業コステイン(Costain)およびオーストリア同業ストラバグ(Strabag)と合弁を組んで受注。中部地域は、第1区間をブイグを中心とする合弁会社が、第2~3区間をカリリオンと同業キア(Kier)・グループおよび仏エファージュ(Eiffage)との合弁会社が、それぞれ受注した。北部地域はバルフォア・ビーティーが仏同業バンシ(Vinci)と共同で手掛ける。
これらの工事は2019年に開始される予定で、政府は計1万6,000人の雇用創出を見込んでいる。第1期区間では他に、ユーストンやバーミンガムなど主要4駅の設計についても入札が進んでいるという。HS2は、第2期工事でさらにバーミンガムからマンチェスターおよびリーズを結ぶ2路線を建設する予定で、2033年の完成が見込まれている。第1期と第2期を合わせた総工費は560億ポンドに上る見通し。
なお、今回の受注企業の1つであるカリリオンは先に、業績見通しの引き下げとトップの辞任を発表しており、この日には事業の見直しに向け、大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)を起用すると明らかにしている。
■HS1の運営権、英投資会社が取得
カナダの投資会社ボレアリス・インフラストラクチャーとオンタリオ教員年金基金は14日、高速鉄道「ハイスピード1(HS1)」の運営事業者HS1を英投資会社のインフラレッド・キャピタル・パートナーズとエクイティクス(Equitix)が率いるコンソーシアムに売却することで合意したと発表した。
「HS1」は、ロンドン―英仏海峡トンネル間の109キロメートルを結ぶ。HS1は、同高速鉄道の2040年までの運営権を保有する。ダウ・ジョーンズによると、今回の取引額は9億1,400万ポンドで、負債も含めた企業価値を30億ポンド以上と評価した水準。ボレアリスとオンタリオ教員年金基金から成るコンソーシアムは、2010年に英運輸省からHS1の運営権を負債も含め21億ポンドで取得していた。[M&A][労務]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。