インドの自動車大手タタ・モーターズ傘下の英高級車メーカー、ジャガー・ランドローバー(JLR)は13日、「ジャガー」ブランドの最新の小型スポーツタイプ多目的車(SUV)「Eペース」を、オーストリアと中国で生産する方針を明らかにした。英国内の3工場がフル稼働に近いため。同社のモデルが国外のみで生産されるのは、これが初めてとなる。
JLRは「Eペース」の生産をカナダの自動車部品メーカー、マグナ・インターナショナルのオーストリア子会社マグナ・シュタイヤー(Magna Steyr)に委託し、今年後半に同社工場で生産を開始する。加えて、2018年には中国市場向けに同国・奇瑞汽車との合弁、奇瑞捷豹路虎汽車が江蘇省常熟に構える工場でも生産を行う。
同社のウォルフガング・シュタッドラー生産担当取締役は、「英国は当社の製造、デザイン、エンジニアリングの中枢だが、同国内の生産施設はフル稼働状態に近い」と説明。「生産委託先のマグナと中国の合弁事業により、生産の規模と柔軟性が確保できる」と話している。
同社は昨年、ジャガー初のEVのコンセプトモデル「Iペース」の生産についても、同じ理由でマグナ・シュタイヤーに委託することを決めている。同モデルの生産は2018年に開始される予定。JLRは、英国でバーミンガム近郊のカッスルブロムウィッチ(Castle Bromwich)、リバプール近郊のヘイルウッド(Halewood)、ウエストミッドランズのソリハル(Solihull)の3カ所に工場を擁するが、生産能力が限界に近づく中、近年は生産の海外移転を加速させている。現在、中国の常熟工場ではレンジローバーのSUV「イヴォーク」とランドローバーのSUV「ディスカバリー・スポーツ」、ジャガーのセダン「XFL」を生産。また昨年にはブラジル工場を新設したほか、スロバキア南西部のニトラ(Nitra)で新工場の建設を開始している。
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