マイケル・ゴーブ環境・食糧・農村地域相は2日、1964年に締結したロンドン漁業条約から離脱すると発表した。同条約は、周辺5カ国と自国の領海沿岸から6~12カイリ(約11~22キロメートル)での操業を相互に認めるもの。離脱により漁業政策の管理を強化し、欧州連合(EU)離脱に備える。
この条約は英国がEUに加盟する前に締結したもので、フランス、ベルギー、ドイツ、オランダ、アイルランドが対象となる。離脱まで2年をかける。英国の漁船も5カ国の領海6~12カイリでは操業ができなくなる。ただEUの共通漁業政策(CFP)では、英国の沿岸から12~200カイリまでEU加盟国の漁船の操業を認めるほか、漁獲量の割り当てを決めている。EU離脱交渉では漁業問題も交渉の課題となるため、CFPを離脱する前にロンドン漁業条約を離脱することで、交渉の土台を整える格好だ。
ゴーブ環境・食糧・農村地域相は、「EU離脱による新たな漁業政策の構築に向けた歴史的な一歩であり、競争力や利益が高く持続的な漁業につながる」と強調。英国の漁業協同組合はこれを歓迎している。一方、EU離脱交渉で欧州委員会の対英首席交渉官を務めるミシェル・バルニエ氏は、同条約はすでにCFPに取って代わっているため大きな違いはないと指摘。またアイルランドのクリード農業・食糧・海洋相は、「不愉快で有用なものではないが、驚きではない」と評している。
英政府の統計によれば、2015年の英国漁船の漁獲量は70万8,000トンで、7億7,500万ポンドの規模だった。同年に5カ国の漁船が英国の領海12カイリ以内で漁獲した量は、推定で1万トンとされる。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。